この人について書くべきか正直迷ってしまった。
そう、まったくアンダーグラウンドじゃないから。
しかし、メジャーすぎるからといって”食わず嫌い”している人、もしくは”クリスマスのあの曲”を耳にしすぎて勘違いしている人も多いのではなかろうかと思い、勇気をだして書くことにした。
ていうか、僕が山下達郎の良さに気づくのが遅すぎて後悔してしまっているけど、そこに少しでも引きずりこんでやろうという魂胆である。
山下達郎は冬の人ではない。
クリスマス時期になると、定番すぎてその曲だけで知った気になってしまった。というより、当時の僕はポップスなんて聴くものかと考えていた。
そう、ナイフよりも尖っていた時期なのである。
山下達郎はテレビCMやドラマの主題歌などに起用された本数は今までのシンガーでおそらく一番多いアーティストである。(著者調べによる)
つまり誰もが認める存在なのだ。
それにはやはり理由がある。
音楽に対する姿勢は職人レベル
まずレコーディングからして他のアーティストと比べると様子がおかしい。
ギターやボーカルだけでなく、キーボードやパーカッションなどまで一人でこなすというこだわりようだ。
さらにドラムやベースなどにも精通していてすべて一人で完結してしまうこともあるらしい。
もはや人間不信レベルである。
本を出版しないこと、テレビに出演しないこと、プロモーションビデオにでないことを公言していて、少々変わり者のヤマタツ先生。
つい先日の12月25日クリスマスの盛岡公演のときに「Gの音がでない」といって演奏を中止して帰ってしまったという逸話で、またも伝説を一つ増やしてしまった。
「このまま演奏をするのはお客様に対して不誠実」ということだが、後日の公演に行けない人もいるはず。。
でもそんなヤマタツ先生が好きです!
先生の公演チケットは今も入手困難
公演会場として、ドームはおろか武道館さえ音響の面で不信に感じており、未だにやったことがないとういう話は有名。
『チケットの入手のしかた』
まずファンクラブが優先して予約できるのだが、すでに定員の10万人に達していて入会することができないため、新規の”ヤマタツファン”だと一般先行予約の枠になってしまう。筆者は”ヤマタツファン”歴が短いので抽選からもれてしまってオークションで入手したが、この先もその手が使えるかはわからない。(IDが年々厳しくなってきている)
そんな先生も62歳になってしまった。
ライブもあと何回できるかわからない。
なぜ今更になって山下達郎について語るのかというと、コンサートが神レベルであるということ。
彼の従えているバックバンドは日本で一番うまいといわれており筆者もそう思う。
小さいステージにこだわってやっている理由を、会場のグルーヴという一体感を感じることでその訳を理解することができるだろう。「東京ドームでライブをやりたい!」という若手アーティストの夢が、きっと小さく感じてしまうはずだ。根本的に音楽に対するこだわりのスケールが違うのだ。
そんなアーティストは日本中探してもおそらくいない。
ドラマの主題歌やCDを聴いて”山下達郎”を知ったつもりになっている人もいるのかもしれないが、音楽は聴くものでもあるし体感するものでもあるということを忘れてはならない。
現にRISING SUN ROCK FESTIVAL “2014”にて珍しく野外フェスに出演し、多くの若者の心をつかんでいる。
まだ彼が現役のうちに是非とも体験してほしい。
至高の2枚組アルバム”JOY”
そんな先生のライブアルバムが3枚リリースされていて、その中にJOYという作品がある。
数々の公演の中から厳選された音源をベスト盤として発表したものだ。
CDを聴いて好きになったのにライブに行ったら下手だったという輩は少なくない。特に高いキーのボーカルを売りにしているようなアーティストほどがっかりして帰る羽目になりやすい。
それほど声がでないのにレコーディングの技術に依存してしまって、さも歌が上手いように見せかける。そういう背伸びをされると、リスナーにとって時として迷惑になってしまう。紛らわしい。
話を戻そう。
JOYに関してはむしろライブ音源であることが信じられないくらいのクオリティを誇っており、LPにいたっては中古市場で最低3万円から取引されている。もちろんLPのベースラインはCDのそれよりも太い躍動感があり、オーディオ環境が良ければどこまでも音がついてくる仕上がりだ。
残念ながらPCから流れてくるような音ではただのPOPsにしか聞こえないかもしれない。とても多くのことを学ばせていただいた音源である。
最後に、
このブログを読んでくれている人で、まだ山下達郎の曲に真剣に向き合ったことがない方がいたら一回はJOYを聴いてみるべきだ。
筆者も音楽に対して偏見がないようにしてきたつもりだったが、自分が間違っていたことに気づいてしまうくらいの衝撃を受けた。
モナ・リザという作品を、写真や教科書で見て知っていて、いざルーブルへ行って本物と対峙したときのようだった。
少々褒めすぎかもしれないが決して大げさではないということわかっていただきたい。
”ただ知っている”ということと、聴いて、観て、体験するというのは大きな違いである。
しつこいようだが、もしも”食わず嫌い”をしていたら絶対に聴いてみてほしい。